昨日の記事で紹介した東の川簡易郵便局訪問後の話を少々…

…の前に、少し話が前後しますが、この時の旅行は友人らと3人で車に乗り、2000(平成12)年6月11日(日)に松本市を出発し、その晩は三重県尾鷲市に投宿しました。
明けて6月12日(月)の朝は、まず東の川簡易郵便局を訪問し、その後は国道425号~169号~168号を経由して和歌山県本宮町(当時)の湯峰温泉に泊まりました。

そして翌日の13日(火)は、国道169号を五條市を目指して北上しましたが、その途中でこんな場所に立ち寄りました。







このつり橋は、「谷瀬のつり橋」と呼ばれ、奈良県吉野郡十津川村の谷瀬という集落と上野地という集落を結んで十津川(熊野川)に掛けられています。このつり橋は、鉄線橋としては日本最大と言われ、長さは297m、高さは54mという大きさを誇ります。
(橋の袂から撮っているため、その全体像を捉えることができていません…(^^;;;)

1954(昭和29)年に、谷瀬の集落の方たちがお金を出し合って、自分たちの生活道路として架けた橋だそうですが、今では十津川村の観光名所の一つとして誰でも渡ることができます。
私は高所恐怖症では無いので、少し怖い思いをしながらも1往復することができましたが、とにかく下を見ても高さや大きさの目安となるものが何もなく、どれくらい高いのかさえ想像もできない感じがした覚えがあります(^^;

また、この橋が架かる上野地の集落は、(高速道路を走らない路線バスでは)日本で最も長い距離を走る路線バスとして知られる特急・八木新宮線の経由地でもあり、上野地は休憩地点として約20分間バスが停車します。この路線は全長が166.9kmもあり、全区間を走る便は片道約6時間半以上掛けて走ります。
この時に撮った写真は、上の橋2枚だけなのですが、機会があったらこの路線バスに乗りながらもう一度訪れたい地でもあります。

ところで、台風12号により、十津川村は大きな被害に遭っているようです。村内の至る所で土砂崩れが発生し、村内外を結ぶ道路が寸断され、村ごと孤立しているとの報道をニュースで拝見しました。現在は自衛隊のヘリコプター等により、孤立者の救助や、水・食料等の運搬を行なっているようですが、土砂による堰止湖が数か所でできているなど、今後もさらなる被害が心配されるところです。今回の台風による被害からの一日も早い回復を祈るとともに、被害に遭われている方には、心からお見舞い申し上げます。


(また旅行貯金ネタで面白そうなのがありましたが、紹介したいと思います。)



まずは、今回の台風12号による災害に遭われました皆さまに、心からお見舞い申し上げます。
今回は今まで取り上げたことの無い、新しいカテゴリーの話題をお届けします。

私の趣味の一つとして、いわゆる「旅行貯金」があります。これは、読んで字の如く「旅先で郵便局を訪ね、(少額の)貯金をして、通帳にされるその記録を楽しむもの」といったところですが、かつては“郵貯ラリー”に参加したり、長野県の全郵便局での貯金預入を達成したり…と、かなりの熱を入れて行なっていました。それこそ、“旅行したついでの貯金”だか“貯金をしに行くための旅行”だか分からなくなってしまったり、“局巡り”と称して端っからそのことのみを目的に出かけることもしばしばだったのですが、結婚してからは経済的な事情により遠方への旅行に頻繁には出られなくなったことや、郵政事業の民営・分割による制度改正等が原因で、旅行貯金への熱も年々冷め気味で、今では出張で知らない土地へ出かけることができた際などに年間で通算数局を回るのがせいぜい…といったところです。

全国に2万4000局以上の郵便局がある中で、どれも窓口では同じサービスを受けられるのは当然なのですが、その立地や生い立ちなどいろいろな切り口で見た場合、かなり特徴的といえる郵便局が少なからず存在します。
今では“秘境駅”なんていう鉄道趣味ジャンルがあるようですが、これに準えていうならば、今回話題に取り上げるのは、さしずめ“秘境局”…といったところでしょうか。

奈良県吉野郡上北山村-今回の台風関連のニュース・天気予報等では、頻繁にこの地名を耳にしていますが、ここには「東の川簡易郵便局」という郵便局(簡易郵便局)がありました。
この郵便局は、立地的に非常に不便なところにあり、この局へ辿り着くための公共交通機関は全く無く、この局が所在する自治体である「上北山村役場」からは国道169号、国道425号、奈良県道228号東川河合線経由で約35km、また隣の三重県にある尾鷲市役所からは国道425号、奈良県道228号東川河合線経由で約26kmという立地条件にあります(Wikipediaの「東の川簡易郵便局」の記事を参考)。
もちろん、直線での距離ではなく、経由しなくてはならない道は“酷道”や“険道”と揶揄されるほどの道で、狭隘であることに加えてアップダウンや急なカーブの連続で、運転には慎重の上に慎重が求められる悪路です。



▲ 東の川簡易郵便局の外観。奥に続くのは、人気の感じられない小さな無人の集落です。


この東の川簡易郵便局には、ただの“秘境局”ではない事情があり、旅行貯金愛好者はそれを目的にこの局を目指したのですが、それはこの局がオンライン端末を置いていない局(=オフライン局)であったからです。
郵便貯金のオンラインサービスは、全国にそのサービス網を行き渡らせ、例えば東京の郵便局で預入や電信振替をしたお金が、ほんの一瞬の後には遠く離れた北海道や九州の郵便局で引き出せるほど速く決済処理が行なわれており、今や国民生活に無くてはならないインフラになっています。それが当たり前の世の中にあって、電話線が無いことを理由にオンライン端末の導入ができなかったのが東の川簡易郵便局(局の事務用電話も、衛星電話だったようです。)で、そこで預入したお金は書類を事務センターへ郵送することによりセンターで確定処理が行なわれ、その口座の貯金原簿に反映されるまで数日から一週間以上を要するという、何とも現実離れした処理が行なわれていました。
それが罷り通っていたのは、恐らくこの局が所在する集落が無人であったからではないかと思われます。この局の近くに作られたダムの工事の影響で、集落の集団移転があり、住人たちは別の場所へ移ってしまったのですが、なぜか簡易郵便局だけはその後も残されたのです。尤も、人々は集落を完全に捨てて移転してしまったのではなく、林業の関係でそのシーズンには元の家に戻ってくることもあったようで、家々は荒れ果てるがままではなく、ある程度手入れがされた状態で佇んでいました。





▲ 東の川簡易郵便局での預入の記録。他のオフライン局も同様ですが、オンライン端末を置いていない局の場合、“金額器”と呼ばれる道具(ナンバリングの道具をもっと大きくしたようなもの)を使って、通帳にガチャンガチャンと必要な金額等を印字して行きます。オフラインが当たり前だった当時は、今より通帳の1行が高かったため、オンライン端末の印字と比べると文字がかなり大きいことが分かります。


このような東の川簡易郵便局ですが、2005(平成17)年4月1日をもって廃止されてしまいました(窓口の最終営業は前日の3月31日)。
やはり時代の流れと、簡易局を委託する郵政公社の懐事情等が重なったのでしょうか。この局が廃止されたのを最後に、日本国内でオフラインで処理を行なう郵便局は姿を消したと聞きます。



▲ 東の川簡易郵便局の近くにある坂本ダム。辺りは行けども行けども深い山で、長野県より山が深いのではと思わせてくれました。


今回、上北山村の地名を聞いて、久しぶりにこの局のことを思い出し、画像を交えて紹介させていただきました。
今回の台風12号により被災された地域は、紀宝町や十津川村など、この時の郵便局巡りで通ったところばかりで、胸が痛みます。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、地域の一日も早い復興を願っています。

(※ 繰り返しになりますが、東の川簡易郵便局は2005年4月1日付けで廃止されました。)


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