【松本電鉄】 神林・水代線乗車記

ホリデー横浜

2010年10月26日 07:01

平成22年9月30日の運行をもって廃止された松本電鉄バスの神林・水代線。松本バスターミナルと松本市神林地籍にある水代橋(みずしろばし)を結んでいたこの路線は、2つの特徴があったと思います。



▲ 9月末をもって廃止された神林・水代線のバス。この日はノンステップのエルガミオ・11001号車での運行でした。水代橋にて。


1つは、運行本数が少ないこと。
ローカルなバス路線にはありがちなパターンですが、平日のみ(休日運休)の運行で、朝夕に1往復ずつの合計2往復というのが廃止前のダイヤでした。しかも、このようなローカル路線の場合、朝はターミナルへ向けての片道のみ、夕方はターミナルからの片道のみの運行というケースも少なくない中、律儀にそれぞれの時間帯に1往復ずつ設定されていました。

もう1つは、終点とされる場所に意味を見出せない(!?)こと。
個人的な見解ですが、水代橋のバス停がある場所は、「なぜここで終点なの?」という感じのする所でした。神林地籍の川東地区の中心…と言えばそうなのかもしれませんが、公民館が近くにある以外特に特徴の無い場所ですし、ここで道が終わってしまうから終点にせざるを得ないという場所でもなく…もう少し先まで進めば広域農道へぶつかりますから、臨空工業団地を通って和田地区や山形村方面への路線として延長することも可能なはず…なのに、なぜかここが終点という場所でした。
また、昔は(少なくとも20年以上前)大庭経由で松本BTと水代橋を結ぶ路線もあったようです。2つの路線が集まってくるところですから、それなりに何か意味があるはずなのでしょうが…



▲ 水代橋バス停周辺の地図。取り立ててバス路線の終点にするような何かがあるという場所でも無いような気が…(^^;;;
(※ Mapionのサイトから引用しました。)


ところで、神林・水代線は、少し前までは単に“水代橋線”と呼ばれていました。
松電バスに系統番号が振られるようになった2008(平成20)年12月のダイヤ改正で、それまでの石芝町~二子橋~下二子経由から信明中学校~大久保工場公園経由に変更され、単独路線として運行される区間が長くなりました。それと同時に、路線名が“神林・水代線”と改められたようです。



▲ 系統番号がついた当初の神林・水代線の方向幕。最初は85系統を名乗っていました。


そんな神林・水代線に、7月下旬に乗ってきました。少々古い話になってしまいましたが、その時の様子などをお伝えしたいと思います。
ちょうど廃止間際の梓川線のお名残乗車の後、時間があったのでついでに…という感じでしたが、今となってはこの時に乗っておいて良かったということになります(^^;
(実は、昨年の暮れにも一度、夕方の便で一往復しているのですが、この時は完全に日没後だったため、改めて明るい時に乗ったというわけです。)



▲ 神林・水代線が出発する松本バスターミナル5番乗り場のサイン。


乗車したのは松本バスターミナル1715発の水代橋行きです。乗車したのは私を含めて片手で数えられる程度です。
その後、神林・水代線の単独区間に入る前までにそのお客さんたちは降りてしまい、私と友人だけが車内に残されました。もちろん途中から乗ってくる方も居ません。
松本市神林出張所を過ぎ、権現原のバス停を過ぎると、バスは急に狭い道へと入っていきます。川東を過ぎ、終点水代橋に到着したのは、松本バスターミナルを出てからおよそ25分後のことでした。



▲ 終点・水代橋バス停に到着した神林・水代線のバス。帰りの便が出発するのは約10分後です。



▲ 水代橋バス停。民家の塀に面した何でも無いところにポツンと立っていました。錆が浮いてかなり年季の入った赤いバス停看板です。



▲ バス停には2つだけ時刻が書かれた時刻表が掛かっていました。このバス停を利用する方はどのくらいいたのでしょうか。


帰りも乗車する旨を運転手さんに伝えつつ、いったんバスから降ります。
空になったバスは、そのまま水代橋を渡らずに、左の道へ進んで行きます。対向車が来たら絶対に擦れ違えないような狭さです! その道をしばらく進むと、バスは右へ曲がって姿を消しました。



▲ 水代橋到着後、折り返しのため方向を変えにどこかへ消えていく11001号車。果たして…


ちょっとだけなら、と思いバスの消えた方を見に行くことにしました。バスが右折して消えた場所…そこは川東公民館に隣接する空き地でした。バスはここで方向変換&折返しまでの時間調整をしているようです。



▲ 川東公民館の隣の空き地で休憩中の11001号車。



▲ バス停へ戻る途中、公民館の前に道祖神を見つけました。舗装がされていなければ、ト○ロとかネ○バスでも出てきそうな雰囲気!?


1751頃になって、バスがこちらに向かってきました。
バス停付近にはバスが長い間止まれるようなスペースが無いため、本当にギリギリの入線(?)です。




▲ 折返し所を出発し、道幅いっぱいに走ってくるバス。水代橋の出発時刻である1752ギリギリの入線です。


帰りは大久保工場公園で数名の方が乗車してきました。
後で運転手さんに伺ったら、すぐ近くにある工場で働く海外からの方たちが良く利用するとのこと。
工場から松本市街への帰宅便として、利用されているようです。
でもそれ以外には乗客はなく、やっぱり数名程度の利用のまま松本バスターミナルに到着しました。



▲ 松本BT到着後、車庫へ回送する11001号車。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


なお、神林・水代線は、10月1日からは大久保工場団地線として松本バスターミナル~管理会館間に区間短縮されました。管理会館では折り返しができないためか、朝は信明中学校~大久保工場公園~管理会館~神林高速バス停前~下二子~石芝町のルートで走り、夕方はその逆で走っています。
(大久保工場団地への利用客への配慮もされたルートになったということでしょうか。ただ、管理会館のバス停には敷地内に入って会館の建物の前までバスを付けていたことを思うと、ここで方向変換ができなくはないようですが…)

できることなら、これ以上の縮小・廃止がなされないことを願うばかりです。


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